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「スタンスとして、0から1を作るのが好き」全日本ラージ王座奪還・池田亘通が語る〈後編〉

2024年10月10日

 9月に行われた全日本ラージボール選手権一般男子シングルスで2年ぶり4度目の優勝を果たした「わった」こと池田亘通(Infinity)。王座奪還を果たした今大会の戦いぶり、優勝を逃した前回大会からの変化、昨年開業した自らの卓球場のことなど、「今の池田亘通」について語ってもらったインタビューを前・後編に分けてお届けする。(前編はこちら

◆「やりたい」と思ったことはやると決めているんで、ひとつの柱として卓球場を持てたのは大きい

●─話の最初に「妻のサポート」という言葉も出てきましたけど、今回は佳乃さんにベンチにも入ってもらっていました。去年まではベンチコーチなしで戦っていましたよね?

池田亘通(以下:池田) ぼく、ベンチに人がいると気が散っちゃうタイプなんですよ(笑)。だからベンチコーチなしでやってきたけど、それも自分のルーティーンみたいなものを決めすぎていたんです。準備にしてもそうだし、ベンチコーチも最初から入れていないから、ずっと入れないみたいに。でもいろいろ決めすぎて、それがストレスになっていた部分もあったんです。
 去年負けてから、その縛りというか、自分の中の「こうあるべき」というものを壊して、こだわる部分とこだわらなくて良い部分を整理しました。その結果、「ベンチコーチはこだわらなくていいや」と思って佳乃にベンチに入ってもらいました。アドバイスをもらうわけでもなくて、自分で考えるのは変わらないんですけど、すごく応援してくれて力になりました。ベンチで佳乃が盛り上がってるのも面白いかなっていう感じでしたね。

●─少し話が戻りますが、卓球場(卓球スタジオInfinity)を始めたことで、触れ合う人の数も増えた。

池田 めちゃくちゃ増えました。本当にたくさんの方が来てくれているんですよ。ラージと硬式、どっちのレッスンでも、神奈川や東京だけじゃなく全国各地から毎週のようにいろんな方に来てもらってます。その中で「応援してます」って言ってもらうことも多くて。それまでは愛好家の方と直接触れ合うのって、講習会くらいしかなかったんですけど、それが毎日になって今回の全日本ラージは「頑張りたいな」っていう気持ちは強くありました。

●─そこはこの1年で大きく変わった部分ですよね。

池田 あとは人に卓球を教える機会が増えたので、指導しているからには自分がプレーで体現したかった。教えているからには結果で示したいと思っていました。

●─卓球場をオープンさせて1年ほど経ちますが、やっぱり楽しいですか?

池田 そうですね、楽しくやらせてもらってます。でも、ぼくはいろいろやりたいタイプなので、卓球場一本で生活しているわけでもないですし、YouTubeもやっているし、ラバーの開発に携わったりもしているし、講習会にも行ったりしている。今もスポーツ飲料を作りたいと思って、いろいろ動いているんです。自分の人生の中で「やりたい」と思ったことはやると決めているんで、その中のひとつの柱として卓球場を持てたのは大きいですね。

●─「卓球場」って言っても、それぞれカラーみたいなものがあると思いますが、池田選手の卓球場はどんな雰囲気なんですか?

池田 ウチは会員制でもないし、月謝もないし、お客さんには完全にフリーな感じで来てもらってます。ぼくの予定がイレギュラーなのでこういうスタイルにしているんですけど、来たい時にいつでも来られる良さみたいなものはあると思います。
 当然、ぼくもレッスンをしていますけど、指導者としてガッツリやると「選手として頑張る」っていうマインドが弱くなるのかなと思っていて。まだまだ選手として強くなりたい気持ちがあるので、ぼく自身も選手として頑張りながら、その背中を見せて、一緒に強くなっていきたい。そういうスタンスが唯一無二なところではあると思います。
 あとは日本一ラージのレッスンが多い卓球場だと思っていて。競技者の数の違いもあるので、比率で言ったら硬式のレッスンの方が多いんですけど、全国ラージや全日本ラージの予選、本戦前には日本各地からレッスンに来てもらって、ぼくは「ラージボールの聖地」だと思っています。 あとは卓球だけじゃなく、ぼくから「人生的な学びを得たい」って卓球場に来られた方もいました。だから、なんとも言えない独特な卓球場になってますね。

●─現在はティバーと契約していますが、契約する前はブランドにどんなイメージを持っていましたか?

池田 ぼくの前に、(YouTuberの)ユージくん(櫻井勇治)がティバーと契約していたので、比較的身近なイメージはありました。今はぼくらのような、インフルエンサー的な人がメーカーと契約するのも珍しくないけど、当時は本当に珍しくて。ティバーがその先駆けみたいな感じでした。
 そういう新しい分野に踏み込む時、ティバーは行動がめちゃくちゃ早いんですよ。ラインナップにラージ用ラバーがない中で、ぼくに「一緒にやろう」と声をかけていただいて『リンフォート』を開発させてもらったり。そういうスピード感、常識にとらわれない感じが好きですね。
 用具もユージくんが使っているものを契約する前に打たせてもらった時から、良いイメージがありました。契約して3年くらい経ちますが、硬式でもティバーの用具を使うようになって、以前より結果を残せているんです。それは用具の力もひとつの要因だと思います。

●─ティバーはSNS上でも話題になることが多い印象です。

池田 結構、自由にやらせてもらえる部分が多いので、縛りは少ないのかなと思います。インフルエンサー的な活動をしていると、契約したメーカーとしては「こういうのはちょっと控えてほしい」みたいな気持ちがあったりすると思うんですけど、ティバーはぼくらを信用して任せてくれていますね。「やりたいようにやりなよ、応援するから」っていうスタンスなんです。

●─以前はラージの大会でティバーのウェアを着ている選手ってほとんど見なかったけど、最近は増えてきましたよね。

池田 それは思いました。そのキッカケがぼくなのかはわからないですけど(笑)。少しずつではあるけど、増えてきたのはうれしく思います。ぼくは仕事のスタンスとして、すでにあるものを広めていくよりも、0から1を作るのが好きなんですよ。ティバーでもラージをゼロから始めて、ラバーを使ってくれたり、ウェアを着てくれるのはうれしいですね。

●─最後になりますが、読者に「これ、オススメです!」っていうティバーのアイテムを教えてください。

池田 ティバーのウェアは全般的に好きですね。特に今年の新作(『AZURシャツ』『SOLシャツ』)はデザインもカッコいいし、生地もすごく良くて。品薄になってますね。これはぜひ着てみてほしいです。

【AZURシャツ】

JTTA公認ウェア/¥6,600(税込)/カラー:PINK/BLUE・ORANGE・PINK・BLUE/サイズ:XS〜XL

【SOLシャツ】

JTTA公認ウェア/¥6,600(税込)/カラー:YELLLOW/GREY・MOSS GREEN/サイズ:XS〜XL

池田 他にも愛用している商品があって、ローラー(『TIBHAR ボールケース』)なんです。ラバーを貼るローラーで、ラージボールは入らないけど、中にボールも収納できるんですよ。ローラー兼ボールケース。意外性のあるものを選んでみましたけど、これはホントに良いです!

【TIBHARボールケース】

¥1,650(税込)/40㎜ボール4球収納可能/アルミ製

【PROFILE】
池田亘通(いけだ・わたる)
北海道出身。尚志学園高(現・北科大高)時代にインターハイ学校対抗で2年連続ベスト16入り。北海道教育大函館校時代に全日学出場。大学3年時の2017年に全国ラージボール大会で初出場・初優勝。翌年からスタートした全日本ラージボール選手権では2018・2019・2022年大会で3連覇を達成(※2020・2021年大会は中止)。今年9月の全日本ラージでは王座奪還を果たす。現在は「わった」の愛称で卓球フリーランスとして活動中

【池田亘通・使用用具】
「自分のやりたいプレーに応えてくれる、バランスの取れたラケット・ラバーを選ぶ」

 試合では対戦相手によってプレーを変える必要があります。そのためには、何か突き出た特徴がある用具よりも、自分のやりたいプレーに応えてくれるバランスの取れたラケット・ラバーを選びたい。
 弾みが抑えめの『ハイブリッドAC インサイド』と、打球感が良くて弾む『リンフォート パワー』の組み合わせは、ラリーで打ち負けず、それでいて台上など細かい技術もやりやすい。全体のバランスが非常に優れていて、ずっと愛用しています。特に『リンフォート パワー』は自分が本当に納得して使える性能を追求して開発したラバーなので、信頼感がありますね。(池田)