TIBHAR NEWS
「ぼくは“仕事”と割り切って卓球をやっているので」全日本ラージ準V・神山峻が語る〈後編〉
2024年10月21日
9月に開催された第7回 全日本ラージボール選手権一般男子シングルスで、初の決勝進出を果たした神山峻(神山PPC)。初出場となった前々回大会ではベスト8に進出するも、前回大会は欠場。2年ぶりの出場となった今大会で準優勝という成績を残した。2度目の全日本ラージ出場で決勝進出を果たせた要因、ラージを始めた理由、ちょっと異質な卓球観など、「神山峻」とは何者かに迫るインタビューを前編・後編に分けてお届けする。(前編はこちら)
◆ラージの時代って、まだ始まったばかりだと思っていて。もっと盛り上がると思うし、その余白もある
●─今は、硬式はプレーされていないんですか。
神山峻(以下:神山) 硬式は指導だけですね。自分で試合に出たりはしていないです。周りから「硬式も」って言われたりもしているので、ちょっと復帰しようかなとは考えていますけど。
●─ラージのコミュニティって、硬式ともちょっと違うのかなと感じるんですが、そこについてはどう感じていますか?
神山 ちょっと違うし独特というか。市場もまだまだ小さいし、正直、今はラージを教えてもそんなに売上も伸びないと思うんですね。だからこそ、まだ入ってこないんだろうなとは思ってます。
●─そういう中で神山さんはラージに挑戦しようと。
神山 ぼくは「仕事として卓球をしている」と公言しているし、ビジネスとして卓球をやっているので。早めに入って先行者優位を取っていこうという感じですね。
●─SNSでも積極的に情報を発信されていますよね。「そんなに語っていいの?」って思うくらい有益な情報を、独特の切り口で。
神山 自分自身、ブランディングは意識しています。ぼくが他と違うのは「仕事」と割り切って卓球をやっていることですね。もちろん卓球は好きではありますけど、仕事ということで考えた場合に「最善の選択は何か」って考えて、今回の全日本ラージに出ることにもなりましたし、昨年は出ないっていう選択をしたし。そういう物差しで決めているので、ちょっと異質には見えるかもしれないですね。
●─大学を卒業されて、一度は銀行に入られたわけですけど、そこから卓球で食べていこうと決めたのって、どんな理由があったんですか?
神山 自分の中で「会社員」っていう働き方が合わなかったんですよね。それで、銀行を辞めて、卓球を仕事にするまでの間にアフィリエイトで収益を上げたり、ベンチャー企業と協力して2年ほど活動していました。
28歳くらいの時に栃木に帰省したんですけど、自分が卓球を始めた地元のクラブでなかなか指導者が来ることができなくなったという話を聞いて、フリーの立場で「パソコンがあればどこでも仕事はできるし」と思って、ぼくが卓球を教えるようになったのが始まりです。アフィリエイトどうこうの仕事を身につけたとしても、フリーで働く中で卓球という手札が一番強いままだった。あとは体を動かすんで、パソコンの前でパタパタやっている時よりは健康的で良いかなと。それって結構大事だなって今は本当に思います(笑)。
●─現在はラージに注力していますが、これから「こんな活動をしたい」というものはありますか。
神山 自分と同世代だったり、年齢の近い20~40代でラージを始めてみたい、ラージに興味があるっていう層と関わりたいし、ターゲットにしていきたいと思ってます。ラージの時代って、まだ始まったばかりだと思っていて。もっと盛り上がると思うし、その余白もあるので、自分もそこに力を使っていきたいし、もっと広めていきたいと思っているので、一緒に何かやりたい方がいたら連絡してほしいです。仕事を一緒にやったり、一緒に何かを作ったり、一緒にラージの時代を作っていきたいという方がいたら、ぜひ話したいですね。
●─そうした活動をする中で、現在はティバーと契約されていますが、もともと神山さんの中でティバーのイメージというのは…。
神山 馴染みがなかったですね(笑)。やっぱり国内だと日本メーカーが強いじゃないですか。
●─実際に契約してから、用具も含めて、どんなイメージを持たれていますか?
神山 用具は普通に良いものがたくさんあるなって思います。あとは「自由」ですよね。一般的にメーカーと契約していたら、縛りじゃないですけど、ぼくももう少し世間体を気にしてSNSを使う必要があると思うんですよ(笑)。そこら辺も「自由にやってくれ」って。どっちが良い、悪いの話じゃなくて、「日本っぽくないな」とは感じますね。そういう部分がぼくの考え方、活動とマッチしているかなと思います。
●─池田選手も同じように「ティバーは自由だ」って言っていました(笑)。
神山 (笑)。そうですね、彼も「会社員」っていうタイプじゃないと思うので。
●─最後になるんですが、ラージでも硬式でも、ラケット・ラバー以外でも何でも良いので「コレは試してほしい!」っていうティバーのアイテムってありますか?
神山 ハッキリ「良い」と言えるのがひとつあって、今年新しく発売されたタオル(『RELIEF ALPHA タオル』『RELIEF BETA タオル』)。これがめちゃくちゃ好きですね。サイズが大きいというのもあるんですけど、「ホテルに置いてあるバスタオル感」っていうか。たぶん、みんな注目していないと思うんですけど(笑)。「ホテルのバスタオル感」が好きな人にはオススメですね。
[RELIEF ALPHA タオル]
[RELIEF BETA タオル]
●─確かに、スポーツタオルで「ホテルのバスタオル感」ってないかもしれないですね(笑)。
神山 そうなんですよ。スポーツタオルってちょっと違うじゃないですか。今まで使ってきた他のメーカーには「ホテルのバスタオル感」はなかったですね。
●─他だと、何かありますか?
神山 これも新商品ですけど、(水溶性)接着剤(『パワーグルー』)。個人的に剥がれにくい感じがします。ぼくはあまりサイドテープを貼りたくないタイプで、よくラバーの端が剥がれてしまうんですけど、この接着剤は接着力が強いのか、剥がれにくい気がしていて。それでいて塗りにくくもないし、助かってますね。
[パワーグルー]
【PROFILE】
神山峻(かみやま・しゅん)
栃木県出身。実践学園中、愛工大名電高、筑波大で各種全国大会に出場。社会人となってからも全日本社会人や全日本実業団へ出場し、2019年クラブ選手権一般1部で3位に入賞。現在は指導者として活動しながら全日本ラージボール選手権に出場し、2022年大会一般男子シングルスベスト8、2024年大会では一般男子シングルス準優勝という成績を残す。個人レッスンなどはこちらから→https://linktr.ee/kanan8sk
〈神山峻・使用用具〉
ラリーでの安定感、攻守のバランスを重視
『KRATOS』はしっかりボールが飛んでくれるためネットミスが少なく、ブロックが安定します。弱いタッチでも飛距離が出て、コート深くに入ってくれるので、守る展開からでもラリーを組み立て直すことができる。ラージボール特有のナックル性のボールも安定して打てます。
『リンフォート パワー』は他のラージボール用ラバーと比べても弾むラバーですが、それでいて安定性が高く、ラリーを作りやすい。『KRATOS』との組み合わせは、ラリーでの安定感、攻守のバランスを重視する選手に合っていると思います。(神山)